翻訳会社とネット系会社
2008年11月 6日(木) 08:46 JST
我々翻訳会社から見るとライバル関係になるので(宣伝になるといけないので)具体名を挙げないが、最近、インターネット検索サービスを提供している会社やら、インターネットのサイト構築サービスを提供している会社やら、ネット系会社が「翻訳者の手による翻訳サービス」を提供する動きが高まってきている。
ネット系会社は従来から自動翻訳(機械翻訳)をインターネット上で提供してきた。 そのことを考えると、ネット系会社が実用的ではない自動翻訳にとどまらず、より実用的な翻訳者の手による翻訳サービスを提供できないかと考えるのは自然の 成り行きかもしれない。きっと、早い段階から、自動翻訳を提供してきたネット系会社この「翻訳者の手による翻訳サービス」の提供というテーマがあったので はないだろうか。
しかし、本当に、ネット系会社の「翻訳者の手による翻訳サービス」がポピュラーなものになるのかは疑問だ。 それは、以下の理由による。
・ ネット系会社の「翻訳者の手による翻訳サービス」は、一般的な自動翻訳が無償で提供されているのに対して有償であり、翻訳料金も極端に安いというわけでもない。 その点において従来の翻訳会社を上回るメリットは感じられない。
・ ネット系会社は、自らは翻訳そのものには深くインボルブせず、翻訳者に丸投げなので翻訳品質に対する信頼性は低い。 いくら外国語の検定試験で良い成績を残している翻訳者を使っていますと胸を張ったところで、そんな指標は気休めにしかならない。 翻訳会社を実際に運営していて、いくら外国語の検定試験で良い成績を残している翻訳者であっても翻訳結果が良いとは限らないということを経験しているし、 それに、同じ翻訳者であっても、翻訳品質が大きく変わることがあるというのも目にしている。良い翻訳会社は翻訳者と深いつながりがあるから、良い仕事がで きるのだ。 (この点は重要なので後刻改めて別の記事にて言及する)
・ ネット系会社というのは細かい作業は行わないので、グラフィカルな複雑な文書などの翻訳には不向きであるなど、そのメリットは限定的だ。
ネット系会社の有利な点というのは、翻訳者に丸投げなので、夜中でも窓口を開けておくことができるという点だ。 あと、宣伝販売能力が翻訳会社より優れていると考えられるので、地味な翻訳会社のインターネット上の窓口よりも目立ちやすいかもしれない。 翻訳を良く知っている顧客層は「翻訳者に丸投げで良いものは出来ない」ということを認識しているが、そうでない素人的な顧客層に対しては、目立ちやすい窓 口は集魚灯のようなもので効果があるだろう。
これらのことを総合的に考え合わせると、ネット系会社の「翻訳者の手による翻訳サービス」はデメリットも多く、すぐに従来からある翻訳会社の「翻訳者の手 による翻訳サービス」に置き換わることは無いだろうと推測される。 ただし、翻訳会社の中で、たとえば、メールの翻訳など、比較的単純な翻訳に特化しているような小さな翻訳会社にとってはバッティングするため、ネット系会 社の「翻訳者の手による翻訳サービス」が脅威となるだろうと推測される。
翻訳サービス合同会社は、登記簿謄本の翻訳(翻 訳会社ソリュテックより技術を受け継いでいる)などを見てもわかるとおり、単なる翻訳ではない、参入障壁の高い技術力に裏打ちされた翻訳サービスを提供し ており、また、複雑な文書でも翻訳するなど、ネット系会社には真似のできない翻訳サービスを提供しているので、ネット系会社の翻訳業界への進出に伴う影響 は少ないと考えている。
今後も、ネット系会社の「翻訳者の手による翻訳サービス」の手が及ばないような翻訳サービスの提供を行っていきたい。
翻訳サービス合同会社 たぶき