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2010年7月30日(金) 05:12 JST

小さな翻訳会社の優位性

大きいことはいいことだ。 昔、森永エールチョコレートのCMで、大きなチョコレートの魅力を訴求するため使われたキャッチコピーです。 確かに、世の中、大きな方がいいものもありますが、翻訳会社に関して言えば、そうとも言い切れない… もし、大きな翻訳会社が絶対的に有利であれば、すでに、世の中の翻訳会社は大規模な翻訳会社だけになっていたでしょう。 しかし、現に、世の中には小さな翻訳会社が無数にあります。

これは、翻訳会社で製造しているのが、大概 「マスプロダクション」 的なものではなく、様々な翻訳ニーズに柔軟に対応しなければならない 「多品種少量生産」 的なものだから、大企業が資本をかけても急激な生産性の向上は見込めず、よって、大きなリターンというのは期待できないという特性があるからだと考えられます。

株式を上場するような規模の会社というのは 「高コスト体質な会社」 と言えるでしょう。 一説によれば、上場して一般投資家から資金調達するためのコストは総額1億円/年ですから、必然的に大きな会社は大きな利益が得られる大きなプロジェクトしかできなくなります。 もっとも、その前に、 資本家は、大概、儲かる会社に投資しますから、大きなリターンが期待できないような翻訳会社には積極的には投資しないので、大きな翻訳会社が生まれにくいということもあるのですがね。

そして現代、翻訳会社は生存競争が厳しく、どの翻訳会社でも薄利で仕事をやっていると考えられ、大きな利益は出せないでしょう。 そのような中、先に述べたように、高コスト体質にならざるを得ない大きな会社というのは存在が難しいということになります。一方、小さな翻訳会社の場合、大きな会社に比べて低いコストで運転できます。 そこは小さな翻訳会社の大きなメリットと言えます。

それだけではありません。 小さな翻訳会社の場合は税金上のメリットもあります。 年間の売上高が1000万円以上の事業者(会社及び個人事業者)は、原則として消費税を納めなければなりませんが、1000万円未満の事業者は、これを免除されます。 売上高1000万円での預かり消費税は 50万円ですが、翻訳会社の場合、翻訳者に支払う人件費が原価の大部分を占めており、設備購入などで出て行く消費税は少ないので、この預かり消費税の納入免除のメリットを多く享受できることになります。 実際には設備としてパソコンを購入したり、通信費などの諸経費で出て行く出費分に乗っかっている消費税分があるので、50万円まるまるということはありませんが、20万円分ぐらいは決算時点で手元に残っていると思います。 この預かり消費税を納入するか納入を免除されることになるわけです。

たかだか年間20万円の違いと思うかもしれません。 しかし、10年も翻訳会社やっていると、その積算額は 200 万円にもなります。 ちりも積もれば山となる。 世の中、ちょっとした優位不利が勝敗を決めることが少なくありません。 1円を笑う者は1円に泣く。 だから大切にしなければなりません。

大きな翻訳会社はスケールメリットが出せるので、それはそれで良いとして、年間の売上高が1000万円を超える中規模の翻訳会社は、年間の売上高が1000万円未満の小さな翻訳会社より、不利な市場競争を強いられることになってしまいます。 従って、懐に余裕がある翻訳会社は別として(そんな翻訳会社は無いと思うが) 年間の売上高が1000万円未満に抑えることが可能な小さな翻訳会社は、あえて規模の拡大を追わず、年間の売上高が1000万円未満になるようしようということになるという構図です。

その他にも、小さな翻訳会社の場合、柔軟性が高いというメリットもあります。 意志決定までの時間が短くて済むので急な変動に対して強いと言えます。 たとえば、昨今、リーマンの破綻をトリガーに信用収縮が一気に広がっていますが、代金が回収不能になるリスクを回避するため、いままで後払いであった支払方法を前払いにすた方が良いと思えば、小さな翻訳会社の場合、すぐに変更が可能です。 それに、小さな翻訳会社の場合、会社の代表自身が翻訳者であったりします。 このような会社の場合、いざとなれば自分の役員報酬を減らすことで急場を凌ぐことができます。 これが、社員を多く雇用している翻訳会社だと、簡単には雇用者を解雇したり減給したりできませんので、手当がつかずに倒産という結果になります。

企業の倒産情報を見ていて気がつくのが、大抵、会社を大きくしすぎた結果の倒産です。 多くの売上げを上げていながら倒産していく会社のなんと多いことか。 これは、調子がいい時に拡大路線を突っ走ったはいいが、突っ走るための資金は銀行や投資家など外部から調達していることが多いため、時代の変化や不況などで事業環境が悪くなった時に、有利子負債が重くのしかかり、また、過剰な設備や人材を抱えて事業効率が悪化し、そして、やがてそれに耐えられなくなって倒れるというパターンです。 時間をかけて堅実に大きくなった会社は良いのですが、短期間に無理に大きくなった会社は倒産のリスクが高いように思えます。 逆に言えば、小さな会社は、無理なリスクテイキングをしていないからこそ、小さな会社であるわけで、リスクが少ないということは、それだけ大ゴケしないということでもあります。 経営者は、会社を大きくしたいという野望を持っている人が多いと思いますが、大きくした後に倒産させるよりは、小さな会社でも地道に進んだ方が良いようにも思えます。

あと、昨今、Google Translate(グーグル翻訳)という、小さな翻訳会社にとっては死活問題とも言える新たな翻訳サービスが登場しましたが、私は、特殊でニッチな翻訳サービスを提供できる会社は生き残れると確信しています。

翻訳サービス合同会社も小さな翻訳会社ですが、翻訳会社間の競争に勝てるよう、持てるメリットを十分に発揮し、より良い翻訳サービスを提供できるよう頑張っていきたいと存じますので何卒宜しくお願い申し上げます。

翻訳サービス合同会社代表 たぶき




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